抄録
本研究では、大学生99名(男21,女78,19.3歳)に実行機能質問紙(関口・山田,2011)の改訂版、自伝的記憶の主観的特性を測定する質問紙(関口,2012)および日本語版感情調節質問紙(吉津・関口・雨宮,未刊行)を施行し、実行機能と自伝的記憶の主観的特性や感情調節方略との関連を検討した。感情調節方略との関連では、実行機能の行動統制と注意の保持が高いと感情の再評価方略または抑制方略を用いやすく、情報の切り替えや熱中が高いと感情の再評価方略を用いやすいことが示された。主観的特性との関連では、言語的に詳細に語れるか、知覚的に鮮明に思い出しているか、あるいは、再現感があるかは、実行機能のうち注意の保持、切り替え、効率、会話、自己意識などの下位尺度と有意に関連があることが示された。