抄録
本研究の目的は,シーン内に提示された標的の視覚探索時に形成される表象と記憶課題時に形成される表象を比較することであった。記憶課題では,学習シーンの提示から10秒後にブランクが提示され,続いてテストシーンが提示された。参加者はブランクの前後で特定のオブジェクトが変化したかどうかを報告した。探索課題では,参加者はシーンに含まれるミニカーを探索し、その向きを報告した。課題に対する構えを操作するために,ブロック内の課題の出現比率(80%対20%)を操作した。記憶課題で標的のトークンが変化する実験の場合,記憶成績は記憶課題に構えていたブロックの方がその逆よりも高かった(実験1)。一方,標的のタイプが変化する実験の場合,記憶成績は構えによらず同程度であった(実験2)。これらの結果は,視覚探索中も物体のカテゴリ情報は記憶課題と同程度に保持されるが,物体の細部はあまり記憶されないことを示している。