抄録
実験参加者自身により選択された項目の記憶保持は,実験者により割り当てられた項目に比べて優れる(自己選択効果)。本研究では,符号化時の自己選択により選択肢項目間の記憶の弁別が促されるか否かを検討した。実験参加者は,自身で選択(自己選択群)した単語,または実験者が選択(強制選択群)した単語を偶発学習した。10分後,全ての実験参加者はテスト項目として提示された各単語について記憶源の弁別をするように求められた。すなわち,実験参加者は各単語について選択した単語か,非選択の単語か,新しい単語かを判断した。その結果,強制選択群よりも自己選択群において弁別成績は高く,自己選択により選択肢項目の記憶が弁別されやすくなる可能性が支持された。