日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第10回大会
セッションID: P5-11
会議情報

ポスター発表5(知覚・感性)
表情の順応効果に及ぼす表出強度の影響
*嶺本 和沙吉川 左紀子
著者情報
キーワード: 表情, 順応, 残効
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
近年,特定の表情を見続けると,後続の同じカテゴリの表情がわかりづらくなるという,表情に対する順応という現象が示された。本実験では,この現象を引き起こしているのは,「表情」そのものの情報なのか,「中性表情からの距離」という情報なのかを検討するために,怒り・幸福・恐怖・悲しみの4つの表情について,先行して提示する順応刺激に用いる表情の表出強度を変化させ,後続のテスト刺激に対する正答率の変化を調べた。その結果,順応刺激の表出強度が強くなるほど,テスト刺激の正答率が低くなり,より強い順応が起こることが示された。これは,表情に対する順応とは各表情と中性表情からの距離が重要な情報であり,この情報は私たちの表情認知過程にも用いられていることが示唆する結果である。また,この結果は表情のカテゴリに関わらず同じ傾向を示したため,表情が持つ固有の意味や機能は,表情に対する順応には影響がないことが示された。
著者関連情報
© 2012 日本認知心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top