抄録
順番に呈示される顔刺激に対して魅力度の評価を行うと、個々の顔刺激に対する評価は、直前の評価が高いほど高く、低いほど低くなるというバイアス(系列効果)が生じる(Kondo, Takahashi, & Watanabe, 2012)。本研究では正立顔と倒立顔に対して魅力度の評価を行ったときの、評価値の相関と系列効果を調べた。その結果、正立顔の評価と倒立顔の評価の間には高い相関が見られた。一方、系列効果は、正立顔においても倒立顔の評価においても生じたが、正立顔の評価では、先行する顔画像と現在の顔画像の性別が異なるときには、同じ場合に比べて系列効果が弱まることが示された。このような顔画像の性別による効果の違いは、倒立顔を評価した時には生じなかった。この結果は、正立顔でも倒立顔でも評価自体は変わらないが、両者の系列効果のパターンに違いがあることを示唆する。