日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第10回大会
セッションID: P1-8
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ポスター発表1(思考・言語/発達・教育・学習)
固有名と役割名の焦点状態が潜在的因果性バイアスに及ぼす効果
*井関 龍太楠見 孝
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キーワード: 潜在的因果性, 焦点, 照応
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抄録
動詞の意味によって,その後の文処理において選好される登場人物が違ってくる現象を潜在的因果性バイアスと呼ぶ。このバイアスが談話焦点に作用することに よって起こるのか否かという点について,長らく議論されてきた。この問題を解決するには,すべての潜在的因果性動詞について一律のメカニズムを想定するの ではなく,動詞の種類ごとに異なるメカニズムを想定することが有効であるかもしれない。本研究では,動詞を行為動詞と状態動詞に分け,文中の登場人物をそ れぞれ固有名と役割名で導入することによって,焦点状態の差を作り出した状況で文完成課題を行なった。実験の結果,行為動詞と状態動詞で焦点の影響が異 なった。行為動詞では,より焦点の当たる固有名の人物への選好が増したのに対し,状態動詞では,もともとのバイアス方向によって影響の仕方が異なった。そ こで,これら二種類の動詞では,焦点への作用の仕方が異なるものと考えられる。
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© 2012 日本認知心理学会
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