抄録
Magliano, Miller & Zwaan (2001)は状況的次元のうち時間次元と空間次元が映像視聴理解に影響を及ぼすことを示した。本研究では大学生を対象に,5つの状況的次元が映像視聴理解に及ぼす影響についてアニメ映像を用い検討した。アニメ映像はカットごとに区切った。参加者には1つのカットの映像刺激の再生が止まった時,キーを押して続きを見るように教示した。カットごとに再生が止まってからキーを押すまでの時間を反応時間とし,それについて重回帰分析を行い,状況的次元の連続性破綻がアニメ視聴理解に及ぼす影響を検討した。その結果,文章を読む時と同様に時間次元の連続性破綻が反応時間に一番影響を与えた。一方,アニメ視聴理解のみにBGMの終了も有意な影響を与えた。すなわち,文章から形成される状況モデルと映像からのそれに影響を与える次元には共通する次元と異なる次元が存在する可能性が示唆された。