抄録
この実験では,糖分の摂取が直感に依存したヒューリスティックベースの意思決定に及ぼす影響を検証するため,二つの文脈効果,魅力効果と妥協効果を用いた。またその生起メカニズムの探索のため被験者の眼球運動とネガティブ感情の測定を行った。文脈効果のため,2選択肢間の困難な選択は規範的に重要でない第3選択肢の存在により揺らいでしまう。これまでの研究では,事前のセルフコントロール課題により認知資源が消耗している際,魅力効果は高まるが,妥協効果は低くなるといった研究結果が示されてきた。また魅力効果は,トレードオフを知覚した際に生じるネガティブ感情からの回避のため生じると考えられている。我々はこれら研究結果を再現し,また二つの文脈効果の差異を検証するため眼球運動とネガティブ感情を分析した。