日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第21回大会
セッションID: P_D18
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ポスター(知覚・感性)
否定的な身体認知が身体所有感に与える影響と離人症傾向との関連
*山本 一希松林 莉子矢野 佑明笹原 聡一郎松永 龍弥島田 慶司中尾 敬
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抄録

自分の身体であるという感覚 (身体所有感) はフルボディ錯覚(FBI)等によって検討されてきた。身体所有感を感じにくい離人症傾向者は,偽身体を自己身体であるとトップダウンに認知させるとFBIが生起しにくくなることが示されている。離人症の事例研究では,自己身体への否定的なトップダウンの認知により身体所有感が低下していると考えられているが,実証には至っていない。本研究では偽身体を否定的な自己身体と思わせる教示を加えたFBI手続きにより,自己身体への否定的な認知が身体所有感に与える影響と離人症傾向との関連を検討した。その結果,否定的な認知が身体所有感に影響しているという証拠は認められなかった。しかし離人症傾向が高い程,否定的な認知を持たせた際に視触覚刺激が非同期で呈示されると,重心が前方に移動していた。この反応は離人の症状に近い状況において,身体所有感を取り戻そうとしていることを反映している可能性がある。

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© 2023 日本認知心理学会
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