抄録
本研究では、ある事象に対する意思決定場面で、とくに親しいわけではない他者に自分の意見について反対されて不快な感情になっているときに、親友がその感情に共感してくれる場面・共感してくれない場面、そして親友が自分の意見に同調してくれる場面・同調してくれない場面の4通りの組み合わせ、さらに親友がその場にいない場面(親友からの感情的共感も意見の同調もない統制条件)を設定した。その結果、人生への影響力が大きい事象を決定しなければならない場面であれば、親しい他者からの感情的な共感よりも意見の同調に影響を受けやすく、人生への影響力が小さい事象を決定する場面であれば、親しい他者からの意見の同調よりも感情的な共感に影響を受けやすいことが示唆された。また、態度や表情で共感を示すだけでも意思決定の後押しになることも示唆された。