抄録
我々はコミュニケーション時に相手の顔の表情や声の韻律によって感情を判断する。従来研究は個々のモダリティが感情に及ぼす影響を特定したものの、マルチモーダルな刺激における視覚と聴覚情報の不一致が感情判断に及ぼす影響を脳活動から評価した研究は少ない。そこで本研究は、人の表情(視覚刺激)と言語韻律(聴覚刺激)のマルチモーダルな刺激に対する感情判断時の脳波分析を行った。予備実験よりポジティブな感情(幸せ)、中立な感情、ネガティブな感情(怒り)の誘発が確認できた視覚・聴覚刺激を呈示し、被験者は「幸せor中立or怒り」の判断をボタン押しで行った。この課題を、「視覚のみ」、「聴覚のみ」、「視覚+聴覚」の条件下で行った。アーチファクト除去した脳波データについて、ウェーブレット変換を行った結果、各条件間で脳波パワーに差がみられることがわかった。