抄録
本研究では,高い確率で虚記憶を生成するDRMパラダイムを用いて,注意欠陥/多動性障害(AD/HD)と同じような生活困難を訴える成人の認知機能を検討した。健常を自覚する群とAD/HDを自覚する群に,15語で構成されるDRMリストと9語で構成されるリストを提示し,リストごとに直後自由再生を求めた。同時に,再生した項目に対してRemember/Know判断を求めた。その結果,正再生率は15語リストより9語リストで高く,反対にクリティカル語の虚再生は9語リストより15語リストで高かった。しかし,健常自覚群とAD/HD自覚群とで,これらの傾向に違いは認められず,いずれの指標においても群間で有意差は認められなかった。これらの結果から,意味ネットワークの自動的な過活性やソースモニタリング・エラーの傾向は,AD/HD様の生活困難を訴える背景に関与していない可能性が示唆された。