抄録
不安障害患者や高不安者は,中性刺激と比較して脅威刺激の記憶成績が高くなるという記憶バイアスが示すことが多くの研究により報告されている(e.g., Mitte, 2008)。大学生などの健常者を対象に記憶バイアスを検討する場合,不安の測定は特性不安尺度による顕在的な測定によって行われる。そこで,本研究では,顕在的測定に加えて,潜在的測定である不安潜在連合テスト(IAT)の両者によって不安を測定し,感情語の記憶成績との関連を検討した。その結果,不安IATのみが記憶成績と関連し,特性不安との関連は認められなかった。