抄録
神谷(2011)は,夕食メニューを想起するプロセスが,人名同定処理(Bruce & Young, 1986)と同じように,系列的処理である可能性を示唆している。本研究では,このような夕食メニューの想起過程の系列性を確認することを目的とした。そのために,一週間前の夕食メニューを想起できた場合に,どのような過程を経て想起されたのかを詳細に報告するとともに,想起されたメニューで間違いないと確信する理由の記述を研究参加者に求めた。また,夕食メニューを想起できなかった場合には,どのような情報まで想起できたのかを報告することを求めた。記述されたデータが分析され,(1) 当該日の出来事を考えてその日を特定する (2) 夕飯前から夕食頃までの自分の行動を思い出す (3) 夕食の場所や夕食のとき一緒だった人を思い出す (4) 食べた夕飯のメニューを思い出す といった夕食メニューの想起モデルが提唱された。