抄録
本研究では、お菓子に関する自伝的記憶について、特に感覚モダリティに関するオノマトペから検討した。大学生生78名(男性28名、女性50名及び平均年齢21歳)を対象に集団式質問紙法で施行した。まず、「お菓子」に関する印象に残るエピソードを挙げてもらい、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の各感覚モダリティに関する記述及びこれらのオノマトペからの表現も求めた。その結果、各感覚モダリティでの高頻度のオノマトペに関しては、同一のオノマトペでもさまざまなお菓子に関する記述が見られた。また、各エピソードでのお菓子に関して最も印象に残った感覚モダリティに関しては、味覚への回答が半数近く見られた。それ以外の視覚、聴覚、触覚に対する回答も比較的多くみられた。その一方でプルースト効果でも示されている味覚と密接に関係している嗅覚への回答は少ない結果となった。