抄録
防災分野では,保有知識と避難行動の不一致を軽減させる学習教材が求められている。防災教材の一つである洪水ハザードマップには,掲載情報が多く,読み手が情報を活用できない情報過多の問題がある。そのため,少ない情報で知識定着と行動意図の生成に有効な教材にする必要がある。多くの学習教材では,理解促進のために説明文に加えて挿絵が用いられている。洪水ハザードマップの説明文と挿絵では,正事例,誤事例,両事例の組み合わせが利用されている。本研究では,説明文と挿絵が両事例の組み合わせから,説明文または挿絵の一方の事例を一つ省略することによる情報の削減と行動意図の生成に与える影響を検討した。その結果,説明文と挿絵の両方に誤事例を含むものが知識と行動意図の不一致が見られなかった。これは,説明文と挿絵の異なる方法で誤事例を提示したことで,危険性を強調して説得を試みる恐怖喚起コミュニケーションの影響が働いたと考える。