反直観的な確率的判断課題として、モンティ・ホール・ジレンマ(MHD)が知られている。そこでは、「ヒント」を受けて選択を変更した場合には2/3、しない場合には1/3の勝率となるが、多くの人は変更しない。これに関して、内容は似ているが変えても変えなくても勝率が1/2である偽MHD課題が、三好他(2004)によって考案されている。本研究では、それとはまた異なる偽MHD課題を作成し、そこに変更しない方向への偏向がみられるかどうかを検討した。大学生153名を対象として、この偽MHD課題を提示し、選択の変更の有無、そこで自身があたる確率の評定などを求めた。その結果、変更しないと回答したのは129名、変更すると回答したのは24名となり、変えない方向への強い偏向が認められた。これは現状維持バイアスの一種であると考えられ、今後の検討課題について考察された。