抄録
街中で常に携帯やタブレットなどを使用している姿が多く目につくようになった。慢性的なメディアマルチタスカーは,認知能力が低下することが指摘されており (Ophir et al., 2009),インターネットへの依存も社会問題になっている。インターネット依存によって引き起こされる様々な問題は自己を制御することができなくなったために生じていると考えられる。インターネットへの依存は,自己を制御するための制御能力が充分に機能しないために生じる可能性がある。そこで,制御能力を測定するエフォートフル・コントロール (EC) の低さとインターネットへの依存度が関連しているかどうかを検討した。その結果,ECの下位尺度とインターネット依存度に負の相関が認められた。特に,行動の始発制御と関連しており,抑制制御に失敗しているのではなく,行動を切り替える制御が充分にできず依存が生じていることが示された。