抄録
本研究は、否定的な思考への対処力が日常的なしあわせ感への認識を促進するどうかを明らかにすることを目的とした。136名の参加者は、幸福感測定尺度の33項目、TCAQの20項目、RS-14の14項目にそれぞれ回答するよう求められた。制御感からしあわせの認識への影響を検討するためにパス解析を行った結果、思考不能感を制御することが、逆境を乗り越えるための力であるレジリエンス評価の向上につながり、主観的多幸感を増強させ、ついで些細な幸せの認識率を向上させることが確認された。しかしながら、思考コントロール感の低さは思考の制御不能感を助長し、自己否定感の拡大につながり、現実からの逃避のための些細な幸せを増加させ、多幸感を減少させうることが確認された。以上の結果に基づき、思考コントロール感としあわせの認識の関係性について考察を行った。