抄録
本研究では,中国における伝統的建築に対して,日本人と中国人の間に印象評価差が存在するかどうかを検討した。結果,SD法尺度から評価性,力量性,体験性という3因子が抽出された。さらに,類似した印象を与える伝統的建築は2つのグループに分類された。評価性と力量性のより高いグループ1においては,評価性,力量性,体験性における日本人と中国人の間には,いずれも有意差が見られた。しかしながら,評価性と力量性の相対的に低いグループ2においては,3因子における日本人と中国人の間には,いずれも有意差が見られなかった。よって,伝統的建築は評価性と力量性のより高い場合には,日本人と中国人の間に印象評価差の生じやすい傾向があることが示唆される。なお,2つのグループにおいて,異なる印象評価差の結果が得られたことは,体験性に起因している可能性があると考えられる。