2枚の画像を見比べて好きな画像を選択する際、視線が徐々に選択する画像に偏り、最終的には選択側に視線が向くことが報告されている。この現象は、音楽のフレーズを聴き比べる場合にも見られることが報告されていることから、感覚の種類に関わらずサンプリング動作が選好形成に関与している可能性がある。本研究では、触覚を用いた選好判断においても同様の現象が生じるかを検証するために、2枚のハンカチの触り心地による二者択一実験を行った。実験の結果、好きなハンカチを選ぶ課題では最後に選択側のハンカチに触れる傾向があったのに対して、嫌いなハンカチを選ぶ課題ではそのような傾向は見られなかった。視覚や聴覚の選好判断と同様に、触動作が触覚の選好形成に影響している可能性が示唆される。