抄録
本研究では,新ストループ検査を反復実施した際に起こるストループ干渉率の増加について,反復による学習効果は課題の種類で異なるという仮説から検討を行った.上記について,新ストループ検査2の4種類の課題正答数,ストループ干渉課題と統制課題から算出される干渉率,反復検査による各課題正答数の増加量を用いて検討した.その結果,干渉率と全ての課題正答数は増加した.反復検査による統制課題の正答数の増加量は,干渉課題の正答数の増加量よりも大きかった.本研究の結果は,反復検査による干渉率の増加が,ストループ干渉の増大ではなく,課題の種類による学習効果量の違いであることを示唆するものであった.本研究から,検査2を用いて継続的に認知能力を測定する過程で干渉率が増加した場合,課題正答数や実施回数を含めて認知能力の変動を分析する必要があることが明らかになった.