抄録
滋賀県にある通所介護・リハビリ施設を対象にアンケート調査を実施し,NHCAPに対する認知度を調査した.対象481施設のうち,199施設より回答を得た(回答率41.4%).結果,施設全体のNHCAP認知度は,「0~30%未満」が74%と最も多かった.一方でサービス提供中の急変や症状の増悪は77%の施設で経験していた.利用者の不調を疑う所見としては,「発熱」や「呼吸困難」が多く,肺炎の初期症状を想定しているものと考えられた.NHCAPの予防について必要な対応としては,「口腔ケア」が71.9%と最も多かった.NHCAP予防における定期的な呼吸ケアの実施は,「全く実施できていない」,「わからない」を合わせると約半数,「若干の実施ができている」を加えると約8割の施設で適切な呼吸ケア対策が不十分であった.医師のみならず,看護師や理学療法士は,ソフト面改善の一翼を担うべき職種であり,地域での更なる多職種連携の必要性が示唆された.