日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第12回大会
セッションID: O1-1-2
会議情報

口頭発表1-1 英語セッション(記憶,思考・言語)
運動学的要素が書字スリップの生起に与える影響
*山田 千晴板口 典弘福澤 一吉
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

同じ文字をできるだけ速く繰り返し書き続けると、意図した文字とは異なる文字が出現する。このエラーは書字スリップとして知られている(仁平, 1984; 1990)。従来の研究では、スリップを誘発しやすい文字についての報告はあるものの、その文字とスリップの結果出現する文字との関係は検討されてこなかった。本研究では、文字間の関係を運動学的類似度と形態類似度の観点から検討した。運動学的類似度は運動軌道と運動速度の類似度を表す指標である。形態類似度は、質問紙の結果から定義された。実験の結果、「あ-お」間でのスリップが最も多く生起した。「あ」と「お」は、非常に高い形態類似度をもつ文字ペアである一方、運動学的類似度は軌道と速度の両方について低かった。この結果は、文字間の運動学的類似度よりも、形態類似度の方が書字スリップの生起に大きく寄与することを示唆した。

著者関連情報
© 2014 日本認知心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top