抄録
人は五感情報から周りの世界を認識しており、その際起こる感覚統合についての研究は数多く行われているが、過去の研究で三感覚以上の情報が同時に入ってきた場合についてはほとんど行われていない。本研究では視覚画像、効果音、触覚デバイスを用いて五感情報における視・聴・触覚の感覚統合について検討を行った。実験では視覚、聴覚、触覚三感覚の運動刺激を同時提示して反応時間を調べた。その結果、単独よりも複数の感覚を同時に提示した方が反応時間は短くなり、また単独の刺激では発生し得ない短い反応時間が複数の刺激を提示した際に確認された。これらの結果は感覚統合によって反応時間の短縮が起こった可能性を示唆している。