抄録
男性的な特徴をどのくらい強く備えた顔に魅力を知覚するかということには個人差が存在することが明らかにされている。本研究では、男性的な特徴に対する女性の選好(非選好)を規定する要因として、状態不安および親密な家族(血縁者)との同居有無に着目した。その結果、他の女性に比べて相対的に不安が高まっている、家族と同居していない女性については、有意傾向ではあるものの、比較的中性的な男性顔を選好する傾向(男性的な特徴に対する非選好)が認められた。本研究はこうした結果を、男性的な特徴が伝える繁殖上のベネフィットと2つのリスク(保身、関係性リスク)とのトレード・オフという、進化心理学的観点から解釈を加えた。