抄録
笑顔の表出には様々な効果があることが知られている。はたして、慣用表現にもあるように、「笑ってごまかす」ことは可能なのだろうか。本研究では、「笑ってごまかすことができた」という状態を「対人葛藤場面において笑顔を表出することで、相手がその状況を受容したり、葛藤を回避したりすること」と仮定し、仮想場面を用いた質問紙実験により検討した。その結果、いずれの場面においても、「笑ってごまかすことができる」という証拠は得られなかった。逆に笑わないほうがよい場合もあり、対人関係において、笑ってごまかそうとすることは効果的ではないことが示唆された。