抄録
列車の運行が停止するなどの輸送障害が発生した場合,鉄道利用者は予定通りに目的地に到着することができるかについて不安や不満を感じる。ただし,適切な情報提供があった場合には鉄道利用者の不安や不満が緩和されることから,輸送障害時の情報提供を改善することは重要である。本研究では刻一刻と変化する輸送障害の状況が鉄道利用者の取得したい情報とその取得量に与える影響を検討した。その結果,列車の運行停止時だけではなく,運行は再開したがダイヤが大きく乱れているときも利用者は目的地に早く着くことを判断するための情報を求めていることが示された。また,輸送障害の状況によって情報の取得量は影響を受けず,取得意図の高い情報ほど取得量は多かった。しかしながら,取得できている量は最大でも“一部の情報が得られた”程度であったことから,迂回情報などの提供可能な情報を積極的に伝えることで利用者の不満が低減する可能性が示された。