日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第13回大会
セッションID: P-1-38
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ポスターセッション1
人間は考える「足」である?
―足と手を前に出す動作による空間的視点取得の促進・抑制効果
武藤 拓之*松下 戦具*森川 和則
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抄録

ヒトは,自分が実際に移動しなくても,他者の視点から見た視覚世界を想像することができる。このような空間的視点取得では,自分の身体を移動させるイメージが使われていることが示唆されている (Kessler & Thomson, 2010)。本研究はこの示唆に基づき,右足・左足 (実験1) と右手・左手 (実験2) を前に出す動作によって空間的視点取得の成績が変化するかどうかを検証した。実験の結果,動作が想像上の移動方向と一致した時に,一致しない時よりも反応時間が短縮した。この結果は,空間的視点取得では心的回転とは異なり,移動に関連した動作のイメージが用いられていることを示唆し,刺激反応適合性による説明を棄却した。さらに,実験1・2の結果を比較したところ,生理学的・解剖学的事実に反し,空間的視点取得時には足の反応が手よりも一貫して速くなることが分かった。これは,歩行の基盤である足が手よりも移動とより直接的な関係を持つ事実を反映していると考えられる。

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© 2015 日本認知心理学会
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