抄録
Schmidt et al.(2007,Consciousness and Cognition)は随伴性学習によるストループ様効果を示した。実験は反応競合が生じない単語を4色に着色して呈示し,課題は色同定であった。単語と呈示する色の比率(随伴性比率)を操作した結果,呈示比率が高い色の方が低い色よりも課題遂行成績が上昇した(随伴性効果)。本研究は随伴性比率を3段階(37.5%/50.0%/62.5%)で操作し,随伴性比率の多寡が随伴性効果に及ぼす影響を検討し,また単語と色の尤度評定を行った。結果,随伴性効果は50.0%, 62.5%条件のみで見られ,先行研究を支持した。おもしろいことに,尤度評定において,50.0%,62.5%条件では呈示比率が高い情報対の方が低い情報対より尤度評定値が高かった。この結果から,学習経験が対象(単語)の尤度評価に影響を及ぼす可能性が示された。