農作業研究
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研究報文
サツマイモ品種「ムラサキマサリ」における慣行挿苗といも付き苗移植を関連付けながらの慣行高畦栽培と大型畦栽培の収量比較
安達 克樹大嶺 政朗石井 孝典小林 透鎌田 えりか
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2022 年 57 巻 2 号 p. 57-71

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抄録

1畦に2条植えする大型畦栽培の収量性を慣行高畦栽培と比較して評価するために,慣行挿苗といも付き苗移植の2つの植付け方法によるサツマイモ品種「ムラサキマサリ」を用いた圃場試験を実施した.大型畦の形状は,2008年は,大型畦1(畦高さ35 cm,畦幅180 cm,畦裾幅120 cm,畦肩幅90 cm,通路幅60 cm)と大型畦2(畦高さ35 cm,畦幅160 cm,畦裾幅100 cm,畦肩幅70 cm,通路幅60 cm)であり,2009年は,大型畦3(畦高さ35 cm,畦幅160 cm,畦裾幅110 cm,畦肩幅80 cm,通路幅50 cm)とした.2008年では,大型畦1と大型畦2栽培は,いも収量において慣行高畦栽培に優ってはいなかった.2009年では,畦型と植付け方法の2つの要因に栽植密度の要因(2.222,1.852,1.500株m-2)を加えて,収量性について試験した.最も低いいも収量は大型畦3×慣行挿苗×1.852株m-2区で得られた.畦型と植付け方法の間の2要因交互作用に関係して,最も低いいも収量は大型畦3×慣行挿苗区で得られ,大型畦3の条件では,いも付き苗移植区のいも収量が慣行挿苗区と比べて有意に高かった.これらの結果は,大型畦3栽培では,いも付き苗移植方法は適しているだろうが,慣行挿苗方法は適していないことを示唆した.本研究で得られた結果はサツマイモ栽培における将来の畦型研究のために有用であろう.

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© 2022 日本農作業学会
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