抄録
本研究では,言語的符号化が困難な刺激を用いて,視覚的記憶が潜在記憶として長期に保持される可能性を検討した。また,変化検出課題を用いて,潜在記憶として保持された視覚的記憶が変化検出過程へ影響を与えるか否かを検討した。実験はNishiyama & Kawaguchi(2014)の手続きに従い,学習フェイズ・変化検出フェイズ・間接再認フェイズにより構成された。実験1では,学習フェイズにおいて,後続の変化検出フェイズに出現する刺激の変化前の画像が,1つにつき5回呈示された。実験2では,学習フェイズにおける変化前画像の呈示回数が1回のみの条件が加えられた。結果,実験1,2ともに事前学習による変化検出率への影響は確認できなかったが,間接再認テストのヒット率の成績に事前学習の効果が認められた。これにより,感覚的な視覚刺激を一度見ただけで,潜在記憶として保持できることが示された。