抄録
顔文字で表現された怒りや嫌悪は、どの程度正確に受け取られるのか調査を実施した。大学生94名を対象に、林・林(2016)が作成した怒りや嫌悪に関する顔文字と、笑顔・怒り・悲しみ・困惑・嫌悪・謝罪の選択肢を示し、当該の顔文字がどの感情を表現していると感じたか選択させた。
カイ自乗検定の結果、選択の偏りはいずれの顔文字においても統計的に有意であった。怒りの顔文字を提示した場合は92%の参加者が怒りであると回答した。嫌悪の顔文字を提示した場合は67%が困惑を選択し、ついで悲しみが15%と多く、嫌悪を選択したのは9%であった。
実際の顔の場合でも誤解されやすい表情とされにくいものがあるが、顔文字においても同様であることが本研究では示された。怒りについては読み手はほぼ正確に感情判断することが出来るが、嫌悪については困惑や悲しみと混同されやすく、嫌悪であることが伝わりにくく伝達には注意を要するであろう。