抄録
株価の予測は、過去の変動から未来の変動を予測する賭け行動である。このような事態では、物事の変化の受け止め方に関する性格特性が賭け行動に影響する可能性がある。しかし、株価の予測への性格特性の効果はほとんど調べられていない。 そこで、本研究では、世の中や人生の移り変わりについての見方である無常観が、株価予測にどのように影響するかを調べた。 実験課題は、株価の変動を示すチャートを観察し、その後の株価が上がるか下がるかを予想することであった。実験の結果、チャートが上昇トレンドの場合、無常観の低い参加者はその後の株価も上昇すると予測する傾向があった。一方、無常観の高い参加者は、上昇の継続と下降への反転を同程度予想した。これらの結果は、無常観の高い人は、賭け行動においても中立的なあるいは保守的な予測を行うということを示している。