日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第14回大会
セッションID: P3-35
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ポスターセッション3
検索誘導性忘却と不注意傾向および短期記憶容量との関連性
*山下 雅子丹藤 克也羽生 和紀五十嵐 一枝
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抄録

「不注意」は生活困難の一部として自覚され、その中には連想を制御できないなどの現象も含まれるようである。著者らの先行研究では、ADHDと診断された壮中年では聴覚的短期記憶容量を示す数唱課題の得点が低い、数唱課題得点が低い壮中年では検索誘導性忘却(以下、RIF)が出現しにくい、などが確認されている。本研究では、通常なら連想抑制が生じる事態でもそのようにならない、例えばRIFが現れない成人には何らかの認知的特徴があるという仮説のもと、大学生26名を対象として、ADHD傾向チェックリストによる不注意傾向と数唱課題、およびRIF課題を実施した。結果としてRIFの大小と不注意傾向、数唱課題の間に関係は認められなかった。方法論の問題として、数唱課題の回答方法が口頭でなく書字であり参加者自身の発声による想起の阻害要因が減っていたこと、学生の立場では生活困難として不注意が現れにくいこと、などが考えられた。

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© 2016 日本認知心理学会
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