日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第14回大会
セッションID: P1-19
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ポスターセッション1
自閉症スペクトラム傾向と視聴覚錯覚の生起様式との関係性
*矢口 彩子日高 聡太
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抄録
自閉症スペクトラム障害(ASD)者は多感覚統合の時間処理において特異的な傾向を示すことが指摘されている。視聴覚統合により生じるダブルフラッシュ錯視(1回の光の点滅に伴い音を2回提示すると光の点滅が2回に知覚される)とASDとの関連を検討した研究では,ASD者は広い時間窓と強い錯視強度を示すとするものがある一方,一致しない傾向を示すものも存在する。我々は,ASD傾向には主に5つの下位傾向があることに着目し,ダブルフラッシュ錯視の生起様式との関係性について,定型発達者を対象にASD傾向の計測を行い検討した。その結果,コミュニケーションのASD的傾向が高まると時間窓は広くなる,社会的スキルのASD的傾向が高まると時間窓は狭くなる,さらに想像性のASD的傾向が高いほど錯視強度が弱まることが示された。このことから,ASDの下位傾向はそれぞれ独自に視聴覚統合の時間的処理と関係していることが示唆された。
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© 2016 日本認知心理学会
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