本研究では、手画像の自他同定において顕在的な場合(提示画像が自己の手か、他者の手かを判断する課題)と潜在的な場合(提示画像が左手か右手か判断する課題)で違いが認められるか、また、各課題のパフォーマンスと自閉傾向(AQスコア)及びポジティブボディイメージ(BAS-2スコア)との関連を検討した。その結果、自他判断課題においてのみ、他人手画像への反応時間が自己手画像に比べて長い参加者ほど、AQの下位尺度である「注意の切り替え」スコアが高いことが示され、さらに、自己身体にポジティブな印象を持つ(BAS-2スコアが高い)参加者ほど課題の反応時間が早くなる傾向が認められた。