主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
清掃は気分転換やストレス解消に良いと一般に言われるが,実際には実証的根拠に乏しい。本研究では,フロアワイパー製品の品質によって,清掃が気分に及ぼす効果が変調することを示した。被験者は,日本の一般家庭のダイニングを模した家具や壁の隙間の多い空間で,床の清掃課題を2回行った。1回は壁や家具の隙間を清掃しやすいワイパー(隙間掃除の容易なワイパー),もう1回は一般的なワイパー(隙間掃除の困難なワイパー)で清掃した。各回の清掃前後でポジティブ・ネガティブ情動,清掃後にワイパーの使用感を測った。その結果,隙間掃除の容易なワイパーでは清掃前に比べ清掃後に,ポジティブ情動は高くなりネガティブ情動は低くなることが示された。一方,隙間掃除の困難なワイパーでは,清掃後にポジティブ情動は低くなりネガティブ情動は高くなった。この気分変動は清掃に要した時間,使用の快適感,楽しさが特に関係していることも明らかになった。