主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
バラのような女性的な香りが付着した布は,やわらかい,滑らかだと知覚されやすい(e.g., Laird, 1932; 西野他, 2014)。加えて,柔らかい(vs 硬い)ボールをにぎっていると,性別が曖昧な顔は女性だと判断されやすいことも示されている(Slepian et al., 2011)。これらのことから,「女性 = 柔らかい・滑らか」「男性 = 硬い・粗い」というジェンダーに関するメタファーが存在すると考えられる。本研究では,予備調査で選定した中性的な香りに対して,女性(vs 男性)と関連づけた学習をすることで,新たに女性的(vs 男性的)という意味的な連合をつくり,その香りが付着した紙の触り心地に及ぼす影響を検討した。その結果,香りの学習において,女性条件の参加者は,粗い紙の触り心地をポジティブに評価することが示された(vs 男性条件)。したがって,中性的な香りであっても,女性的という意味的連合を新たに獲得することで,その香りは滑らかさの知覚を促進することが示唆される。