日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第18回大会
セッションID: OS3_4
会議情報

口頭発表 3:知覚・感性
中性的な香りでも触り心地が良くなる?
香りに対する性別の知覚が触り心地に及ぼす影響
井関 紗代元木 康介坂田 亮佑北神 慎司
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

バラのような女性的な香りが付着した布は,やわらかい,滑らかだと知覚されやすい(e.g., Laird, 1932; 西野他, 2014)。加えて,柔らかい(vs 硬い)ボールをにぎっていると,性別が曖昧な顔は女性だと判断されやすいことも示されている(Slepian et al., 2011)。これらのことから,「女性 = 柔らかい・滑らか」「男性 = 硬い・粗い」というジェンダーに関するメタファーが存在すると考えられる。本研究では,予備調査で選定した中性的な香りに対して,女性(vs 男性)と関連づけた学習をすることで,新たに女性的(vs 男性的)という意味的な連合をつくり,その香りが付着した紙の触り心地に及ぼす影響を検討した。その結果,香りの学習において,女性条件の参加者は,粗い紙の触り心地をポジティブに評価することが示された(vs 男性条件)。したがって,中性的な香りであっても,女性的という意味的連合を新たに獲得することで,その香りは滑らかさの知覚を促進することが示唆される。

著者関連情報
© 2021 日本認知心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top