日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第18回大会
セッションID: OS5_1
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口頭発表 5: 社会的認知
選択のオーバーロード現象に待機列による焦燥感が及ぼす効果
松田 憲畔津 憲司有賀 敦紀
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抄録

選択のオーバーロード現象とは,過剰な商品選択肢は消費者にかえって負担になり,購買意欲を抑制してしまう現象である。Haynes(2009)は,タイムプレッシャーによって焦燥感を明示的に与えた場合にオーバーロード現象が生起することを示したものの,その後の研究での追試が成功していない。本研究は,選択を待つ他者の存在によって焦燥感を非明示的に与えることで選択のオーバーロード現象が生起するかを検討した。参加者の半数は,10名の待機列が視界に入る状態で4枚ないし12枚の画像の中から欲しい画像の順位付けを行い,その後に全順位付けに対する満足度と後悔度の評定を行った。残り半数の参加者は,待機列のいない状態で同様の手続きで行った。その結果,選択時に待機列があることで選択のオーバーロード現象が生起した。待機列によって生じた焦燥感が認知的制御を妨害し,効用を最大化するような厳密な論理による選択が阻害されたことによると考える。

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