主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
嘘をつく人は真実を話す人よりも認知的負荷が高いことが知られている。本研究では,認知的負荷量を測定することで虚偽検出が可能であるかを検討するため,その方法として有効視野範囲の測定を用いて実験を行った。嘘をつくとその負荷によって有効視野範囲は縮小することが予測された。はじめに参加者を隠蔽あり群となし群にランダムに分け,隠蔽あり群に対しては嘘をつきそれを隠す課題であると教示した。課題は,提示されるカードを記憶した後に,その内容について一致もしくは不一致の内容を指示に従って回答し,直後に画面上に現れる光点を検出することであった。以上を一試行として96試行行った。その結果,視角18°において隠蔽あり群はなし群よりも光点の正答率が低下した。この結果は,嘘をつく課題によって生じる負荷が有効視野を狭めたことを示しており,有効視野範囲の測定が虚偽検出の方法の一つとして提案できる可能性を示唆するものである。