主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
私たちはオブジェクトを目にしたとき,たとえば「ハサミ」を「文具」や「刃物」とも認識できるように,様々な様式でオブジェクトを認識することができる。その中で,Rosch et al. (1976)はオブジェクトのカテゴリで最もよく使用されるカテゴリが存在することを明らかにし,それを基本カテゴリ(e.g.ハサミ)と呼んだ。先行研究では,基本カテゴリは上位カテゴリ(e.g.文具)よりも速く認識されるということを,処理時間の比較などを通して明らかにしてきた。しかし,そうした先行研究は人工オブジェクトの機能を反映する上位のカテゴリ(e.g.切る)についての検討をほとんど行なってこなかった。そこで本研究では,提示時間を操作したGo-noGo課題で機能カテゴリ,基本カテゴリ,上位カテゴリに基づくオブジェクトの判断時間を比較し,機能カテゴリの活性化の速さを検討した。その結果,機能カテゴリの活性化の速さが上位カテゴリよりも速いという可能性が示唆された。