日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第19回大会
セッションID: P1-B16
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ポスターB
注意範囲の大きさは,物体への動機づけの強さを変化させるか
*武野 全恵北神 慎司
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抄録
恐怖などの回避動機づけを強くする感情や,羨望といった接近動機づけを強める感情は注意範囲を狭め,悲しみや楽しさなど弱い接近回避動機づけに関連する感情は注意範囲を広げる (Gable & Harmon-Jones, 2010)。また,注意範囲が広い状態で強い動機づけを生じさせる刺激を観察すると,その刺激に対する注意の捕捉が弱まることが報告されている (Gable & Harmon-Jones, 2012; Ryerson, Neal, & Gable, 2017)。そこで本研究では,注意範囲の大きさをあらかじめ操作し,刺激への動機づけ強度が変化するかを検討した。実験では,参加者を注意範囲の大きさで群分けし(大域群/局所群),注意課題を行わせながら中性刺激と回避動機づけ強刺激に対して動機づけ評定をさせた。その結果,中性刺激の動機づけは局所群によって評価された場合に接近方向に強くなった。これは,注意範囲が逆行的に働き,刺激に対する動機づけ強度を変化させるが,もともと強い情動を喚起するような刺激への動機づけには影響を与えない可能性を示唆する。
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© 2022 日本認知心理学会
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