抄録
ただの点の動きに意思や生き物らしさを感じてしまうことがある。アニマシー知覚と呼ばれる現象であるが、その心的な構成要素は複雑で不明な点も多い。本研究では視認できる目標の有無を操作することでアニマシー知覚における目標指向性の影響を検討した。実験ではひとつの白い点が不規則に動く動画を提示し、白い点から感じる予測可能性、意図性、生物性の強度を7段階で評価した。目標有条件では黒い点を2つ提示し、白い点は緩やかに黒い点に向かっていった。目標無条件では目標は提示されなかったが、白い点の動きの性質は目標有条件と同じであった。実験の結果、目標有条件では無条件に比べて予測可能性、意図性が高かったが、生物性は変わらなかった。一方で目標の有無に関わらず予測可能性と意図性に相関は見られず、予測可能性と生物性に負の相関が認められた。発表ではアニマシー知覚におけるこれら4つの心的要因の関係を包括的に議論する。