主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第20回大会
回次: 20
開催日: 2022/10/15 - 2022/10/16
これまでに俳句の美的鑑賞過程に着眼し、曖昧性を認知的曖昧性と感情的曖昧性に分類し、美との関連を検討した。その結果、認知的曖昧性と感情的曖昧性はそれぞれ違った仕方で俳句の美を説明することが明らかとなった一方、曖昧性を細分化する必要が生じた。本研究は、認知的・感情的曖昧性という2つの因子を細分化し、俳句鑑賞中に喚起される曖昧性因子をより精緻に同定することを目指した。まず、俳句の準熟達者50名に自由記述及びインタビュー調査を行い、KJ法による分類を経て、8因子が示唆された。その後、60名の参加者に8つの曖昧性の観点から俳句10句を評価してもらい、因子分析を行った結果、最終的に情景の曖昧性、関連の曖昧性、解釈の曖昧性、感情の曖昧性の4因子が同定された。それらは互いに中程度の正の相関を示し、類似するものの違った概念であり、解釈の曖昧性以外の3因子は俳句の美と負の相関を示すことが明らかとなった。