抄録
運転適性検査には、認知機能をはじめとした運転に関わる諸機能とその個人差を測定できることが求められる。我々は、実行機能に注目し、その加齢変化や個人差を測定可能な評価課題(go/no-go課題)を開発し、運転適性検査としての利用可能性を報告した(石松他, 2020)。本研究では、開発したgo/no-go課題がどのような実行機能(切替、更新、抑制)を反映しているかを明らかにすることを目的に、Adrian et al. (2019)で使用された認知課題やCRSD Attention Network Testとの関連を検討した。若年群42名および中年群42名がgo/no-go課題と5つの認知課題を実施した。go/no-go課題の各指標を目的変数とした重回帰分析から、Commission errorは抑制と切替、Omission errorは抑制、切替、更新、Response times は抑制と関連することが示された。これらの結果から、go/no-go課題は切替、更新、抑制という実行機能の3つの要素を含む評価課題となっていることが明らかとなった。