抄録
スキンケア化粧品の愛着形成には、肌への効果といった機能的側面だけでなく、感触や香り等の五感入力による使い心地の良さといった感性的側面が重要である。本研究では、血行促進などの機能的効果を有することが知られる炭酸配合美容液の泡の質感が長期の愛着に及ぼす効果を検討した。参加者(成人女性45名)は炭酸を配合した炭酸泡処方と炭酸を配合していない液体処方とをそれぞれ1か月間ずつ連用し、各連用前後において、各処方に対する愛着スコアを評価するとともに、顔に塗布する前後の感覚的印象語に対する脳波を測定した。その結果、液体処方の連用条件よりも炭酸泡処方の連用条件において、愛着スコアが有意に増加し、”なじみが良い”に対するP300電位が有意に増加した。これらの結果から、同じ美容液処方であっても炭酸を配合することで愛着形成が促進されること、炭酸泡を顔に塗り広げる段階での塗布感覚への注意が愛着に寄与する可能性を示した。