日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第21回大会
セッションID: P_D24
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ポスター(知覚・感性)
把持可能物体は擬似的空間無視を弱める
*今泉 修柿沼 瑠奈池原 優斗鈴木 啓介
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抄録

健常者において,水平線分の主観的二等分点が実際の二等分点よりも左側に偏ることを擬似的空間無視という。身体運動を伴う視知覚判断において,錯視が弱まることが知られている。本研究では,身体運動を促す把持可能な物体(例えば棒)ならびに視知覚判断を行う際の身体運動が,疑似的空間無視を弱めるという仮説を立てた。実験では,机上の水平方向に置かれた棒と線分の主観的二等分点が,調整法と単一刺激法で測定された。調整法では,実験参加者の左右方向の上肢運動によって二等分点が報告された。単一刺激法では,刺激上の数水準の位置に提示された目印が,刺激中央から左右どちらに偏っているかが二肢強制選択で報告された。その結果,線分に比べて棒では主観的二等分点の左側への偏りが有意に減った。測定法の主効果と交互作用は認められなかった。これらの結果は,把持可能物体が擬似的空間無視を弱めることを示唆する。

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© 2023 日本認知心理学会
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