日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第21回大会
セッションID: P_B06
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ポスター(思考・言語・注意)
構音抑制が知能検査課題に及ぼす影響
*平田 正吾河崎 翔子
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抄録
構音抑制は、課題とは無関係な語を発話させることにより、ワーキングメモリにおける音韻ループの関与を阻害する手法である。音韻ループは、実際の構音を伴わない内的な発話である内言の基盤ともされているが、どのように他の認知活動と関与しているのかについては、十分に検討されていない。本研究では、標準的な知能検査に含まれている2つの課題、すなわち系列再生課題と、言語性の推論課題を取り上げ、二重課題パラダイムを用いることで、各課題における音韻ループの関与について検討した。測定の結果、構音抑制下の系列再生課題では、その音韻構造が類似した名称から成る視覚刺激の系列が再生されづらくなる音韻類似効果が生じていたが、言語性の推論課題は構音抑制下でも、その成績が低下することはなかった。この結果は、ワーキングメモリにおける音韻的情報と言語的意味が乖離しうるものである可能性を示唆している。
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© 2023 日本認知心理学会
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