抄録
従来から事業用自動車の運転者を対象とした適性検査(NASVAネット)が利用されてきたが、我々は運転者の高齢化を見据え、実行機能を反映した異なる側面からの新たな適性検査について開発を進めてきた。本研究では、新たな検査が既知の認知機能検査とどのような関連があるのかについて検討を行った。これによって、新たな検査課題が実行機能のどのような側面を反映するのかを明らかにすることが目的である。対象者は若年者42名と中年者42名であった。新たに作成したTMT類似課題を実施した。課題遂行時間や刺激位置での滞留時間などを測定し、他にサイモン課題、新ストループ検査Ⅱ、CRSD―ANT、CF―TEST、語音整列課題(WAIS―Ⅲ)、実行機能質問紙を実施した。課題間の相関分析と階層的重回帰分析を行った結果から、課題遂行時間は実行機能のうち課題切り替え、滞留時間は抑制を反映していることが示唆された。